スライド

概要

XULで実現されたタブブラウザといえば、「MultiZilla」がその元祖でしょう。MultiZillaは、Mozillaのコードをベースにして新たにXULアプリケーションを開発するというアプローチで設計された、独立したXULアプリケーションです。

対するこの「タブブラウザ拡張」は、単体では動作しません。Mozilla0.9.5以降でMozilla本体に実装されたタブブラウジング機能に対し、第三者がXULで書いたコードを動的に組み込む「オーバーレイ」を利用して機能を追加します。よって、実質的には「Mozillaに対するパッチ」のように働くものと言えるでしょう。

この方式には、MultiZillaの方式には無いメリットがいくつかあります。

Mozillaは、「標準に準拠したWebブラウザ」であると同時に、「XULという開発環境のデモンストレーション」でもあります。日々改良が加えられてはいますが、ブラウザとしての使い勝手を最優先しているわけではありません。

まあ、闇雲に機能を増やしてしまってはユーザーの混乱を招きますし、コードも複雑化してしまいますから、Mozillaの現在の方針は、それはそれで評価できます。しかしMozillaを常用しているユーザーとしての立場で考えると、細かい不満が色々とあります。

これはあくまで私見ですが、Mozillaを「使いやすいブラウザ」「便利なブラウザ」「魅力的なブラウザ」に変えることができれば、テストもよりやり易くなるのではないでしょうか? Mozillaの使い勝手が悪いために常用を避け、その結果としてGecko・XULの問題を見過ごしてしまっていた人が多いのだとすれば、「使いやすいMozilla」の実現はプロジェクト全体にとっても利益になります。一石二鳥というやつですね。