ページのレイアウトにスタイルシートを用いて NC4.x 環境を「切り捨てる」場合の言い訳のテンプレート、とか

俺が無能だからじゃないんだぞ!と言ってみる

頼まれものの Web サイト製作で、 XHTML1.1 + CSS でレイアウトを行ってみたら、やはり NC4.x で表示が寂しくてなぁと難色を示されたので、以下のような言い訳をたらたらと述べてみた。

出だし

今の段階では、 NetscapeCommunicator 4.x ではレイアウト情報が全て無視されるようにしてあります。これには以下のような理由があります。

コスト面の理由

レイアウトをスタイルシートで行っているのには、まず、更新のコストを削減できるからという理由があります。しかし、残念ながら NC4.xのスタイルシート対応状況は惨憺たるもので、場合によってはフリーズすることすらあります。その問題を回避しながらスタイルシートを記述するには、多数ある NC4.x のマイナーバージョンごとのバグを全てチェックしなければなりません つまり、コストを下げるためのスタイルシートが、逆にコストを増加させる可能性があるわけです。

ところが、それだけのコストをかけても、一般の方の環境は NC4.xではなく Windows IE である場合が非常に多いです。有り体に言って、得られるメリットがコストに釣り合いません また、研究機関や企業などの一部の環境では未だ NC4.xが多く使われている場合がありますが、それらの環境でこのサイトを閲覧する際というのは、目的は「レイアウトを見ること」ではなくあくまで「必要な情報を得ること」である場合が殆どで、派手なレイアウトは必ずしも必要ではないです。

まとめると、以下の表のような状況が現実にあります。

ユーザ層ブラウザレイアウト
一般ユーザWindows IE無いと受けが悪い
学術機関、企業などのユーザNC4.x無くても支障はない

もちろん、これはあくまで「一般的な傾向」であって、全てのユーザがこうであるとは限りませんが。

IE 等の環境ではスタイルシートが有効で、 NC4.x ではスタイル情報が一切適用されないというのは、「不公平」という意味でも確かに問題ではありますが、それぞれのブラウザのユーザ層のニーズと、製作・管理・維持にかかるコストを考えると、今の形が最もベターであると私は考えています。

アクセス性の面の理由

では、何故、 NC4.x でも表示できる TABLE によるレイアウト手法を使わずに、このような問題を承知の上でスタイルシートによるレイアウトを行っているのか。それは、アクセシビリティ、アクセス性への配慮のためです。

スタイルシートを用いない、例えば TABLE などによる旧来のレイアウト手法で製作されたページは、 IE4 以前や NC4.x 、 DreamPassport などの(設計の)古いブラウザでもレイアウト付きで表示することができるというのが最大のメリットです。しかしその反面、将来性は乏しいですし、 PC で腰を据えてじっくり見るという以外のニーズ、例えば、外出先で WindowsCE 搭載のモバイル機で閲覧するなどのケースでは、 PC の画面サイズを規準としたレイアウトは閲覧の妨げになるだけです。

対して、レイアウト情報をスタイルシートに分離している場合は、そのような非リッチな閲覧環境でも、「とりあえず最低限、内容は読むことが可能」です。旧来の手法でレイアウトを行うよりも、確実に多くの環境をフォローアップできるのが、この手法の大きな利点です。 ( MacIE 4.5 のようなケースは、 HTML と XML の問題であって、本質的にはスタイルシートの問題ではないです)

ページがまったく表示できないせいで顧客が逃げてしまう確率と、表示がシンプルなせいで顧客が逃げてしまう確率は、比べてみるまでもないでしょう

前者の手法でなければレイアウトを見られないブラウザの需要の減少と、後者の手法に対応したブラウザの普及という、今の流れを考えると、今の段階で後者の手法に「移行」しておくことは、総体的には得であると私は考えています。

でも結局のところ

……とまぁ偉そうなことを散々述べるわけですが、こんな風に言えるのは僕のように、仕事を失うことが生活に直結しない、ボランティアでやってるような場合くらいであって、また、実際のところは FireWorks も何も持ってない素人なので CSS でのレイアウト以外のことは何一つできまっしぇ〜んというだけのことであり、クライアントのいかなる要望にも対応できるだけの技能を持った「プロ」の Web デザイナーが職業で活躍されている最前線の世界では、こんな言い訳は通用しないのであります。